福田復彦
駐在員としての個人的資質については前に述べましたが、もう一つ考慮すべきは起こりうるかもしれない不幸の事前回避です。
- 健康診断:駐在員選出条件の一つとして帯同家族を含めて、肉体的・精神的健康上の問題は最重要事項です。海外で病気や怪我などの症状を外国語で医者に説明することは非常にやっかいです。歯痛や軽い風邪の症状などでも億劫になります。また「イタイ」とは言えても、「ズキズキ」「シクシク」などの形容詞表現になるとかなり語学力の高い人でも難しい表現です。
・精神的に新しい環境に順応が不適応な人などはノイローゼの心配があります。隣人等か
らいじめられたり、身体的病状がなくても、本人にとっても無意識的な異質な環境下で
精神的な不安定感に襲われ、ノイローゼに陥り最悪自殺を図ることもあります。
・駐在したくない人を駐在員にすると現地で色々なトラブルを起こす可能性があります。
嫌な人は外すほうが互いの不幸回避になります。
日本で簡単に入手可能な薬品でも、現地には国産品がない、輸入禁止等の場合もあります。駐在国の医療レベルでは治療不可能な場合もあり、最悪不幸な結果になりかねません。患者を先進国の転院させるために航空機を使用すると費用も膨大になり、また手続きも大変複雑です。
・持病持ちの人:持病が突発的に悪化しないこと。常備薬が欠かせない場合の、日本か
ら送付方法を決めておく必要があります。持病は、仮に歯の治療くらいでも、完治
させてから赴任することです。
- 家族状況:親の看護や世話が必要。身内に重病者がいる等。夫婦仲が悪い。家族内や親戚などともめ事や解決すべき問題がある。
- 留守宅からの支援:駐在に出ると会社のみならず、留守宅からの色々な支援が必要です。例えば、個人的な必要品の送付(例:子供の学用品、薬品等)持ち家の管など。
- 子供の教育:子供が上級学校への進学のために同伴できない。現地に日本人学校がない場合など。
- 駐在員に選任する以前に個人的事情をきちんと把握しておくことは必要不可欠です。選ぶ側にとっては重大問題とは思えなくても本人には大きな心配事であるならば、それらを考慮する必要があるでしょう。「万難を排して会社のために行ってくれ」という時代ではなくなりました。
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