53)10Fグローバルパーソンとメキシコ、宗教 2025年1月7日

福田復彦

メキシコの国民的聖母グアダルーペについては1月3日と4日のブログで説明しました。ここでは一般的な国民の宗教への感情や関心、さらに国家と宗教など社会学的な見地からお話しします。

メキシコのみならず中南米全体のスペインによる征服及び植民地管理の先兵として重要な働きをしたのがカトリックです。植民地時代はスペインからの入植者はカトリック教徒でしたが、独自の宗教を持っていた先住民も強制的にカトリックに改宗させられました。さらに彼らの土地も神の名のもとに接収され、教会は広大な土地所有者となり、世俗権力と結びついて人々を支配しました。

独立運動が盛んになるにつれて、スペイン政府の国家管理の排除のみならず、カトリックもその対象になりました。独立後も諸々の紆余曲折を経て、メキシコは国家の非宗教性という立ち位置に決めました。これは、簡単に言えば政教分離で「国家と宗教の組織的な結びつきを切り離し、国家が宗教に介入せず、宗教も国家に介入しない」と言うことです。

ですから国家及び大統領以下の政府の要人などは公式に宗教行事に参加することは出来ません。例えば、クリスマスやイースターなどは、本来は宗教行事ですが、政府の解釈では「国民の習慣的祭日」と解釈して人々が祝うことに関心を示していません。

メキシコ人の80%がカトリック信者と言われますが、信仰心や教会への帰属意識は薄く、日本人の宗教心と同様と考えても良さそうです。しかし神の存在や畏敬の念は決して否定しません。また自分の運命は神の支配下にあると考えている人が多いようです。

ですから日本での宗教批判と同じ無神論的な見解でカトリックを批判することは禁物です。あくまでの尊敬の念をもって接することが大切です。

彼らは他の宗教に非常に寛容です。ただし無神論無宗教や無信仰者に対しては道徳的・倫理的規範を持たない者として社会的に信用されない場合があります。この点も日本の社会と大きく異なるところです。

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